著者:南 正泰(現場経験34年)

書類作成を外に任せると、会社が良い方向へ回り出す

土木会社の仕事は、現場だけでは終わりません。安全管理、出来形管理、品質管理、写真整理、打合せ簿、各種申請書など、工事が動けば書類も増えていきます。書類作成を外へ任せる目的は、単に書類を早く完成させることではありません。現場監督を本来の仕事へ戻し、会社全体を良い方向へ回すことです。そして、今いる現場監督が疲れ切ってしまう前に負担を減らす、大切な人材を守るための予防策でもあります。

1. 書類に追われると、会社全体の動きが止まる

現場監督が机に向かう時間が増えるほど、現場を確認する時間は減ります。

書類の遅れは、書類だけの問題ではありません。現場の段取り、利益、安全、次の受注まで、会社全体に影響します。

特に危険なのは、仕事ができる現場監督へ負担が集中することです。昼は現場、夜は書類、休日も次週の準備という状態が続けば、判断力や集中力が落ちるだけでなく、心身の疲労や退職にもつながりかねません。

2. 書類を外へ出すと、現場監督が現場へ戻れる

書類作成を外部へ任せれば、現場監督は現場でしかできない仕事に集中できます。職人と話し、工程を考え、品質を確認し、次の作業を先回りして準備する。こうした仕事に時間を使えるようになると、現場の流れが良くなります。

厚生労働省の資料では、2024年の建設業の年間総実労働時間は1,938時間で、全産業の1,643時間より295時間長いとされています。限界まで働いてから人を探すのではなく、余裕がなくなる前に書類の一部を外へ出すことが重要です。

一つの現場が安定すれば、隣の現場や次の工事を見る余裕も生まれます。書類作成の外注は仕事を減らすためではなく、現場を安定させ、次の受注へ進む余裕をつくる方法です。

3. 現場監督は、求人を出しても簡単には採れない

「忙しいなら、現場監督をもう一人雇えばよい」と考えるかもしれません。しかし、現在の建設業では、その一人を採用すること自体が簡単ではありません。

厚生労働省の建設雇用改善計画によると、2024年度の「建築・土木・測量技術者」の有効求人倍率は5.58倍でした。全産業の1.25倍に対し、約4.5倍の高さです。この区分は現場監督だけの数字ではありませんが、建設技術者の採用が難しいことを示しています。単純に言えば、仕事を探している一人の技術者に対して、約5〜6件の求人がある状態です。

求人を出せば必ず応募が来る職種ではありません。採用を待つ間も、今いる現場監督へ仕事が集中します。

4. 一人で現場を任せられるまで、10年近くかかることもある

未経験者を採用できても、すぐに一人で現場を任せられるわけではありません。

厚生労働省の職業情報提供サイトでは、土木施工管理技術者が「周囲から特別なサポートがなくても、一般的な就業者と同じように働けるようになるまで」の期間について、「3年超〜5年以下」という回答が最も多く、2年を超えるとした回答は合計58.2%でした。

ただし、これは一般的な回答です。私自身、土木業界で長く現場を見てきた感覚では、先輩に確認しながら仕事ができる段階と、工事全体を見渡し、一通りの現場管理を一人で判断できる段階はまったく違います。

発注者との打合せ、工程管理、安全管理、品質管理、出来形管理、変更への対応、書類作成までを一人で安定して行えるようになるには、少なくとも10年近くかかると感じています。本人の経験や担当工事によって差はありますが、採用して数年で誰にでも現場を任せられるほど、現場監督の仕事は簡単ではありません。

5. 育成中の給与だけでも、3年間で1,000万円を超える

厚生労働省資料では、従業員5〜9人の建設事業所における年間給与額は、全従業員平均で約446万円と試算されています。これは見習い現場監督だけの給与ではありませんが、会社負担を考えるための一つの目安になります。単純に3年分を計算すると、給与だけで約1,338万円です。

これは「研修だけに1,338万円かかる」という意味ではありません。育成期間中に支払う給与の累計です。実際には、会社負担の社会保険、採用費、資格取得、研修、先輩社員が指導する時間なども加わります。

まだ一人で現場を任せられない育成期間でも、会社が負担する給与は3年間で1,000万円を超える可能性があります。10年近くかけて経験を積ませる場合、その間の会社負担はさらに大きくなります。

6. 育てた人材が辞めてしまうリスクもある

時間と費用をかけて育てても、会社に残ってくれるとは限りません。

厚生労働省の調査では、建設業で人材育成に「問題がある」と回答した事業所は85.7%でした。その理由で最も多かったのが、「人材を育成しても辞めてしまう」の61.4%です。

人手不足を新規採用だけで解決しようとすると、採れない、育成に時間がかかる、育てても退職するという三つのリスクを同時に抱えることになります。

7. 人を一人雇う前に、必要な分だけ外へ出す

社員を雇えば、給料だけでなく、社会保険、賞与、教育、パソコン、机、事務所スペースなどの固定費が毎月かかります。仕事が少ない月でも、この費用は変わりません。

書類作成の外注なら、必要なときに、必要な書類だけ依頼できます。

新しく人を雇う固定費を増やさず、仕事量に合わせて費用を調整できることは、建設会社にとって大きなメリットです。仕事が多いときだけ利用し、少ないときは止めることもできます。

外注費はかかります。しかし、その費用によって現場監督の時間が戻り、もう一つの現場を担当できたり、次の工事を受注できたりすれば、外注費は単なる経費ではなく、売上をつくるための投資になります。

なお、書類作成を外注しても、法律上配置が必要な主任技術者や監理技術者が不要になるわけではありません。目的は人を置き換えることではなく、今いる技術者を書類に縛り付けず、その経験と判断力を現場で最大限に生かすことです。

8. 書類を任せても、会社の技術は失われない

外へ任せるのは、現場の判断そのものではありません。施工方法や現場条件、会社として大切にしていることは現場監督から確認し、それを書類として整える部分を外部が支えます。

現場を知る人と、書類を作る人が役割を分けることで、現場も書類も安定します。

南建設では、施工計画書を含む土木工事書類を、一式でも一書類単位でもお受けしています。現場経験34年の代表が内容を確認し、現場の実態から外れない書類づくりを行います。

9. 見習い現場監督の補佐にも利用できます

書類作成の外注は、経験のある現場監督を助けるだけではありません。まだ経験の浅い見習い現場監督の補佐としても利用できます。

見習いの方が一人で悩む時間が減れば、書類の間違いや手戻りを防ぎやすくなります。先輩監督も、夜に一から書類を直すのではなく、現場でしか教えられない判断や段取りの指導に時間を使えます。

見習いを外部へ丸投げするのではありません。会社と現場監督が最終判断を行い、南建設が書類と進め方の面から横で支えます。見習いを育てながら、今いる監督の負担も減らせる仕組みです。

10. 正しく使えば、会社にとってメリットしかない

書類を外へ任せると、現場監督に時間が戻ります。時間が戻れば現場の段取りが良くなり、品質と利益が安定します。余裕が生まれれば、次の工事も受注しやすくなります。

今いる監督の疲弊を防ぐ。見習い監督を育てやすくする。書類の遅れや手戻りを減らす。新規採用の固定費を増やさない。現場と次の受注に使える時間をつくる。

必要な範囲を決め、一つの書類から利用できるのであれば、私は会社にとってメリットしかないと考えています。外注費は、単に書類を作るためのお金ではありません。人材を守り、人材を育て、現場と会社を止めないための投資です。

「書類が多くて次の現場まで手が回らない」「人を雇うほどではないが、今の人数では書類が追いつかない」。そのようなときは、まず一つの書類から外へ出してみてください。

書類の流れが変われば、現場の流れが変わる。
現場の流れが変われば、会社全体が良い方向へ回り始めます。

南建設 ─ 富山34年が支える土木工事書類作成代行

土木工事の書類作成を一書類単位から承ります。現在の仕事量や社内体制をお聞きし、どの書類を外へ出すと効果が大きいかという相談から対応します。

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